管理人の気ままな日記気ままな日記TOPへhistoryBACK

←PREVNEXT→【2011年9月】> 20110910/(H23)近畿大学 生物理工学部 公開講座

 近畿大学 生物理工学部 H23年度第11回 公開講座(BOST Science Cafe)を聴講してきました。
 
 日時:平成23年9月10日 13:00〜
 会場:奈良パークホテル(2F大和の間)

【プログラム】
 1.「梅と健康」 食品安全工学科 三谷 隆彦 教授
   13:10〜14:00
    伝承の域を出なかった梅の機能性の研究を、県や民間の研究機関と共同で行っています。
    そんな機能性成分の分析と、薬理作用研究の一端を紹介します。

 2.「感情表現できるロボットの口を目指して」〜最先端の音声合成研究〜
    システム生命科学科 武田 昌一 教授
   14:05〜14:55 
    感情音声は複雑で、人工的に合成することができませんでしたが、最近ようやく可能になりました。
   そんな研究を紹介し、合成のデモンストレーションも行います。

 3.その他、コーヒーブレイクをはさんで、15:10頃から質疑応答の時間がありました。
 詳細は、近畿大学生物理工学部 平成23年度 第11回公開講座 のページをご参照下さい。

 この公開講座は、今までに4、5回聴講しています。内容的には非常に分かりやすいので
中学生以上なら理解できると思います。逆に管理人は少し物足りないと感じていますが、
受験生や親御さんへのPR活動でもあるのでしょうがないでしょう。

§概要報告(講義内容より)
 1.梅と健康
   果物が身体に良いとされていますが、その科学的な裏付けは、近年次第に明らかになってきています。
  大規模な栄養疫学調査が主に欧米で行われ、果物摂取と種々の疾患予防との関係が報告されてきました。
  果物(と野菜)を摂取すると、循環器疾患(虚血性心疾患や脳卒中)、幾つかのがん(食道がん・
  胃がん・肺がんなど)、骨粗鬆症などの生活習慣病が予防できることが明らかになってきました。
   果物中のどのような物質がその役割を担うのかについて、多くの研究が進められてきていますが、
  非栄養素であるポリフェノールがこの役目を果たしているのではないかと考えられ、数多くの成果が
  報告されるようになってきました。梅は我が国特有の伝統的な果物として、古くから親しまれ、梅干、
  梅酒などに加工されてきました。また、中国では「烏梅」として漢方薬にもなっています。梅は身体に
  良いとされていますが、その機能性と称するものの多くは伝承的な域を出ていませんでした。我々は
  梅果実中のポリフェノールの分析と、薬理作用の検討を進めており、その研究の一端を紹介します。

 【管理人の寸評】
   果物や野菜などが循環器疾患のリスクを下げる効果は、世界的な大規模調査(何十万人)の
  結果であることが分かりました。たんぱく質や炭水化物、ビタミンなどは栄養素と呼ばれているが、
  それ以外の非栄養素として、食物由来の化合物(ファイトケミカルズ)であるポリフェノールなどの
  健康増進作用が今注目されている。
   梅干を漬けたあとの汁(一般に梅酢と呼ばれているが酢ではない。)は大量に捨てられている。
  この梅酢からポリフェノールを抽出して有効利用するのが、研究の二次目的である。数年以内に商品化
  されるとのことですので、注目したいと思います。

 2.感情表現できるロボットの口を目指して 〜最先端の音声合成研究〜
   ロボットが怒ったり、喜んだり、悲しんだりする・・。これを聞いてどのような状況を想像しますか?
  金属でできた体で機械のような声でぎこちない動作を想像しますか?いいえ、そうではなく、人間
  そっくりの姿形で、声も感情表現も人間そっくりのロボットなのです。こんなロボットが実現できれば、
  介護ロボットとしても利用できます。こんな時代が来るのが夢ではなくなっているのです。そのような
  ことを予告するような研究成果を紹介します。私たちはこれまで、怒ったとき、嬉しいとき、悲しいときの
  人の声の特徴を調べてきました。しかしこの様な感情表現の特徴はとても複雑で、感情音声を人工的に
  作り出す(合成する)ことができませんでした。
   長年の研究の末、最近ようやく感情音声の特徴がわかってきて、合成することができるようになりました。
  講演では、この様な感情音声合成の研究を紹介し、合成のデモンストレーションも行います。

 【管理人の寸評】
   人型ロボット(アンドロイド)の研究は大阪大学(石黒研究室)などが有名ですが、確かにその
  表面的な作りや表情が人間に酷似しています。ただし、今回の講座を受講して、感情表現には声が
  重要であることに気付かされました。実際に、かなり完成度の高い感情音声合成ができていました。
   感情音声の合成ができるようになると、見かけの表情だけでなく本当の意味での人間そっくりの
  ロボットの域に到達するのは近いと感じました。ロボットが感情表現まで完璧にできるようになると、
  何か末恐ろしい気がしたのは私だけではないと思います。なにかゾクッとしますね・・・

2011年12月24日追記(近畿大学生物理工学部公開講座係から、質問票の回答が来ました。)
 以下に、管理人が質問票で質問した内容と、メール連絡のあった回答を紹介しておきます。

3.H23度第11回公開講座(奈良)質問&回答
 【質問】
   梅の抗菌作用はピロリ菌に対して有効ですか?
 【回答】
   現在研究中です。

 【質問】
   今回は感情音声の合成でしたが、人の感情を聞き取る音声認識技術の方は研究さ
   れていますか?
 【回答】
   当然ながら、感情音声を合成するために音声の特徴を調べていけば、その特徴は感情を
   認識するための手がかりとしても使えます。感情音声認識の研究をしている人たちも
   少数ながらいますが、この方面での研究が盛んになるのはこれからでしょう。

→ その他の「セミナー、講演会」参加記録は、 マイセレクション/「セミナー、講演会、展示会」

Copyright (C) 2009 Mottai-Navi All Rights Reserved.