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HOME【やさしい法令解説】消費生活用製品安全法の改正について

 製品安全の問題、品質関係のトピックス、関係法規などについて、分かりやすく解説しています。

§消費生活用製品安全法の改正について

 消費生活用製品安全法(消安法)は、消費生活用製品の事故による一般消費者の生命又は
身体に対する危害の発生の防止を図り、消費者の利益を確保することを目的として、
昭和48年に制定されました。
 消費生活用製品とは、「主として一般消費者の生活の用に供される製品」と定義されています。
ただし業務用製品であっても、その製品の仕様や販路等から判断して、一般消費者がホームセンター
等で容易に購入可能で、一般家庭でも使用できるような製品は、「消費生活用製品」と解されます。
この法律は、昨今発生している、
 ・ガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒死傷事故
 ・家庭用シュレッダーによる幼児手指切断事故
 ・石油温風暖房機の一酸化炭素中毒
 ・リチウムイオン電池の発火事故
 ・扇風機の発火事故
等の大きな被害を出した製品事故をうけ、最近において2回の改正がありました。
これらの製品事故の原因は、誤使用や改造によるもの、耐用年数以上の長期使用による部品の
劣化によるもの、不良品の混入によるもの等色々ありますが、何が起こっても大きな事故に
結び付かないような安全設計が要求される時代といえます。また第三者から見て、その事故が
予見可能と判断された場合は、製造者側に責任があるとされる可能性が高くなります。
以下に今回の消安法の改正と、それを受けて改正された「電気用品安全法技術基準省令の改正」
の概要を示します。

(1)平成18年12月6日公布、平成19年5月14日施行
 消費生活用製品安全法の改正(平成18年12月6日法律第104号)
 主な改正ポイントは、消費生活用製品における事故の再発防止、重大な危害の発生及び
 拡大を防止するため、死亡、重傷、火災などの重大な事故が発生した場合の、国への
 事故報告の義務付けと、事故情報を広く一般に公表する制度の追加
です。

(2)平成19年11月21日公布、平成21年4月1日施行
 消費生活用製品安全法の一部を改正する法律(平成19年法律第117号)
(改正消費生活用製品安全法と呼ばれている。)
 この改正により、経年劣化安全対策の強化として、「長期使用製品安全点検制度」
 導入されました。「長期使用製品安全点検制度」とは、消費者自身による保守が難しく、
 経年劣化による重大事故の発生のおそれが高いものについて、消費者に保守情報を
 適切に提供するとともに、点検実施体制の整備を製造・輸入事業者に求める制度です。
 具体的には、屋内式ガス瞬間湯沸器(都市ガス用、LPガス用)、屋内式ガスふろがま
(都市ガス用、LPガス用)、石油給湯機、石油ふろがま、密閉燃焼式石油温風暖房機、
 ビルトイン式電気食器洗機、浴室用電気乾燥機
の合計9品目(これらを特定保守製品と
 呼ぶ)であり、これらの製造るメーカーは平成21年4月以降、以下のことが義務付けられます。

 1)10年を目安にした「設計標準試用期間(標準的な条件の下で使えば安全上支障がない期間)」
  を本体に表示
 2)点検期間(時期)を所有者に通知する(所有者は購入時に所有者票を郵送しておく。)
 3)有償で点検・修理に応じる

(3)平成20年5月1日公布、平成21年4月1日施行
 電気用品安全法技術基準省令の改正(平成20年経済産業省令第34号)
 消費生活用製品安全法の改正に合わせ、電気用品安全法における、「電気用品の技術上の
 基準を定める省令」が改正され、「長期使用製品安全表示制度」が制定されました。
 「長期使用製品安全表示制度」とは、改正消費生活用製品安全法(平成19年11月公布)
 における「長期使用製品安全点検制度」の対象とはならないものの、長期に亘り使用される
 製品であるため、消費者等に長期使用時の注意喚起を促す表示を義務付ける制度です。
 経年劣化による重大事故の発生確率が高くはないものの、経年劣化による重大事故件数が
 一定数以上のものについては、消費者に対して、適切な注意喚起を行うことが事故の未然防止
 を図る上で重要と考え、扇風機、換気扇、ブラウン管テレビ、エアコン、洗濯機の5品目
 (産業用は除く)に関して、製品本体への経年劣化による事故リスク情報を表示する制度
 であり、これらの製造メーカーはH21年4月1日以降、製品本体への経年劣化による事故リスク
 情報の表示が義務付けられます。

・製品本体への経年劣化による事故リスク情報の表示例
「この製品の設計標準使用期間は○○年です、
 設計標準使用期間を超えてお使い頂いた場合は、経年劣化による
 発煙・発火・けが等の事故に至る恐れがあります。」

 製造業者は、ますます消費者の安全と品質に配慮した製品を提供しなくてはならないことに
なります。特に安全に対する要求が強くなりますので、製品寿命末期や部品故障の際にも、
発火・発煙することが無いような製品安全設計(本質安全設計)を行う必要があると考えます。

参考サイト:
 ・経済産業省/製品安全ガイドのページ
 ・製品事故情報報告・公表制度に係る消費生活用製品安全法及び関連法令改正について
 (経済産業省/消費生活用製品安全法のページ)


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