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HOME【やさしい法令解説】第12回「PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」


 PCB廃棄物処理関係で、最近かなり活発な動きがある。処理期限が近付く中、国の焦りが見える。
今後どうなっていのかが気になるところである。

 環境省で平成23年10月1日に第1回「PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」が開催
されてから、既に第12回目(平成26年5月13日開催)の検討委員会が開催されている。
議題は「PCB廃棄物処理基本計画の変更について」である。以下にポイント(概要)を示します。

 現在は、JESCOが全国に5事業所(北海道、東京、豊田、大阪、北九州)の処理施設を整備し、
それぞれに処理対象エリアを定め、地域ごとに処理を行うことになっている。(拠点的広域処理)
したがって、現在は地域を越えて横流しできないことになっているが、各処理事業所は全く同じ設備
ではなく処理対象物に得て不得手がある。また処理するPCB廃棄物の量にも地域差があり、このまま
行くとアンバランスとなり北九州や北海道が自分地域の処理を終えても他の地域では処理しきれない
ということが発生する。早く終わった地域は、他の地域のPCB廃棄物を、地域を越えて引き受けないと
ストックホルム条約※で求められている、年限(平成40年)までには終われないことが分かっている。

1.今後の処理体制
 1) JESCOの5事業所の長所を生かし、処理能力を相互に活用
  (拠点的広域処理を飛び越えて融通し合うこと。)
 2) 安定器等・汚染物の処理については、北九州事業所及び北海道事業所を活用
 3) 計画的処理完了期限、事業終了準備期間を設け、最長でも平成37年度までに処理を完了
【管理人のコメント】
   拠点的広域処理を飛び越えた全国的な処理については、例えば早く処理の済む地域が
  他の地域のPCBを処理するということである。これについては、地域住民の理解が必要。
  予定より長引けば反対運動も起こりかねない。

2.主な取組
 1) 都道府県市、国、JESCO、電気保安関係の事業者等が協力し、未処理事業者の一覧表の作成
 2) 処理費用の負担能力が低い保管事業者への支援及び意図的に処理委託を行わない者への対策検討
【管理人のコメント】
  多大な処理費用を体力のない企業が工面できるのか。中小企業への支援はされるが、大企業に
 とっても大変な額になり、経営を揺るがす問題である。

以上が、基本計画の変更(案)の骨子であるが、原子力発電所の廃炉問題(放射能汚染物の処理)と
相まって、厄介な問題が続いている。ただし、持続可能な社会のためには先送りにできない問題である。
今後も大きな動きがあったら、採り上げて行きます。

【その他の動き】
  高濃度PCB処理を扱っているJESCOが国・県等の委託を受けて中間貯蔵事業※を新たに
 追加しました。これにより、2014年12月24日付けで社名が「日本環境安全事業株式会社」
 から「中間貯蔵・環境安全事業株式会社」に変更されました。(JESCOの略称はそのまま)
 5箇所の事業所はそれぞれ「PCB処理事業所」に改められました。例えば「北九州事業所」
 は「北九州PCB処理事業所」となります。

ストックホルム条約(POPs条約)
  日本を含む欧州を中心とした多くの国々は、POPs条約(残留性有機汚染物質に関する
 ストックホルム条約)を締結していて(日本は2002年8月に加入)、2025年(平成37年)
 までにPCBの使用の廃絶、2028年(平成40年)までに廃液、機器の処理(努力義務)を
 義務付けている。
中間貯蔵事業とは、除染で取り除いた土や放射性物質に汚染された廃棄物を、最終処分を
 するまでの間、安全に管理・保管するための施設です。

 その他、PCB廃棄物の処理事業についての詳細は、JESCOのホームページ を参照のこと。


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