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HOME【やさしい法令解説】第9回「PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」


 環境省で平成23年10月1日に第1回「PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」が開催
されてから、今回ではや第9回目(平成24年8月9日開催)の検討委員会が開催された。
 既に本検討委員会から、報告書「今後のPCB廃棄物の適正処理推進について」が提出されている。
平成24年7月13日から7月31日までの期間、これについての意見募集(パブリックコメント)も
実施され結果が出ている。
 以上を踏まえて、現時点での主に安定器等・汚染物の状況について簡単に説明します。

1.検討委員会の今後の予定
  平成23年10月1日の第1回検討委員会の添付資料「今後のスケジュール(案)」によると、
 恐らく最後にあと1回「まとめ」の委員会が開催されたら、この委員会はお開きになるでしょう。

2.報告書「今後のPCB廃棄物の適正処理推進について」の概要
  ・報告書概要[PDF 338KB]
  ・報告書[PDF 408KB]
  ・報告書の別添[PDF 1,508KB]
 以上の資料は、環境省>報道発表資料から閲覧(ダウンロード)できます。
 報告書は42ページにも及びますが、
  8−2 安定器等・汚染物
  9−1 処理期限
 の各項を見てください。

 また、これについての意見募集(パブリックコメント)も実施され、その結果が報告されている。
  ・意見募集(パブリックコメント)結果[PDF 342KB]
 これらの、「安定器等・汚染物」関係 の項を見てください。

  検討委員会の報告書では、全国5箇所の処理事業所が融通しあって効率よく処理できた場合、
 処理期間の最終目処は平成35年度までと試案されている。ただし、これはトラブルの発生がなく
 うまくいった場合の推測である。一方、処理期限のリミットは、最悪でもストックホルム条約※(1)
 で求められている年限(平成40年)までと書かれている。ただし、実際には処理期限が来ても
 処理されないものが残るので、2年間の余裕を設けるとも書いてある。
  以上を勘案すると、平成38年頃が最終処理期限になるのではないでしょうか。(個人的予測)

  最も処理が遅れるものは、「微量PCB汚染廃電気機器等」と書いてあり、安定器等・汚染物に
 ついては、国と自治体等が協議を行い、できる限り早期に処理がなされるよう、国、関係自治体が
 協力して処理体制を確保すべきであると書かれている。

  結論的には、保管事業者の処理義務と費用負担はなくなりません。全国的な広域処理※(2)が
 できたとしても、輸送代は保管事業者持ちであることは間違いなさそうです。
  個人的には全体の処理期限は、平成38年頃が最終のリミットだと思いますが、安定器等・
 汚染物は国と自治体が協議して、処理設備が拡充される可能性もあります。この場合は、もっと
 短くなると思われます。今後「PCB廃棄物特別措置法施行令」が改正され、処理期限が再設定
 されるのは必至だと思われます。いずれにせよ、平成28年7月14日までの処理期限はなく
 なると思います。(個人的予測だが、どう考えても無理なことは自明)

  照明用安定器などを保管している事業所は、今後少なくとも10年以上は保管が続きそうです。
 通常はドラム缶などに入れて保管していると思いますが、安定器外装ケースの腐食などがひどい
 場合は、PCBが漏れている可能性もあり、蓋をきちんと閉めて密閉することをお薦めします。
 また、PCBの漏洩を確認するため、定期的に保管庫の雰囲気(空気)を測定するのが良いと
 思います。
  現在、安定器等・汚染物を受け入れているのは、九州事業所のみです。北海道事業所は平成25年
 操業開始予定となっています。今後の法律改正やJESCOの処理状況、例えば大阪事業所の受入
(受付開始)や、全国的広域処理の動向をウオッチする必要があります。
  処理費用は政策的に今よりは安くなるかも知れませんが、劇的に安くはならないような気がします。
(補助が出れば別ですが。)

 以上、状況報告まで。

※(1)ストックホルム条約(POPs条約)について
  日本を含む欧州を中心とした多くの国々は、POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストック
 ホルム条約)を締結していて(日本は2002年8月に加入)、2025年(平成37年)までに
 PCBの使用の廃絶、2028年(平成40年)までに廃液、機器の処理(努力義務)を義務付けている。

※(2)全国的な広域処理
  JESCOが全国に5事業所(北海道、東京、豊田、大阪、北九州)の処理施設を整備し、それぞれに
 処理対象エリアを定め、地域ごとに処理を行うことになっている。(これを拠点的広域処理という。)
 したがって、現在は地域を越えて横流しできないことになっている。
JESCO拠点的広域処施設
  各処理事業所は全く同じ設備ではなく処理対象物に得て不得手がある。また処理するPCB廃棄物の
 量にも地域差があり、このまま行くとアンバランスとなり北九州や北海道が自分地域の処理を終えても
 他の地域では処理しきれないということが発生する。早く終わった地域は、他の地域のPCB廃棄物を、
 地域を越えて引き受けないと平成28年には到底終われないことが分かっている。
  保管事業者は、決められた最寄の処理事業所にしか処理を委託できませんが、これを、他の地域でも
 処理を可能とすることをいう。例えば、本来は大阪事業所に委託する保管事業者が九州事業所に処理を
 委託することをいう。
  その他、PCB廃棄物の処理事業についての詳細は、JESCOのホームページ を参照のこと。


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