T.使用済み安定器(コンデンサ)の取扱いについて
1.法令上の取扱い
(1) 使用済みのPCB使用安定器(コンデンサ)は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により、
「特定管理産業廃棄物」の中の「特定有害産業廃棄物」に指定された「PCB汚染物(金属くず)」に
該当します。
(2) 使用済みのPCB使用安定器(コンデンサ)は、処理施設が整い処理されるまで「排出する事業者」
が保管、管理することになります。
処理施設については、日本環境安全事業株式会社(JESCO)のPCB廃棄物処理事業をご確認下さい。
(3) 「排出する事業者」とは、現在の「施設管理者(施設所有者)」となります。
2.保管、管理について
(1) 特別管理産業廃棄物の保管方法については、「特別管理産業廃棄物保管基準」(廃棄物処理法
施行規則第8条の13)に定められています。
(「U.使用済み安定器(コンデンサ)の保管について」を参照して下さい。)
(2) 特別管理産業廃棄物を保管する事業者は、各事業場ごとに廃棄物の処置及び清掃に関する法律
(以下、「廃棄物処理法」という。)に基づく、「特別管理産業廃棄物管理責任者」(厚生省令で
定める資格を有するもの)を置かなければなりません。
(3) 保管に際しての管理台帳については、(社)日本電気協会発行の電気技術規程(JEAC8102-1993)
「PCB使用電気機器の取扱い規程」の様式などを参考にし、保管日、種類(〜安定器又はコンデンサ)
及び数量などを記録し、管理することが必要です。
3.届出について
保管したPCB使用安定器(コンデンサ)については、その年の3月31日以前の1年間の保管状況を
毎年6月30日までに、事業所を管轄する都道府県知事(保健所を設置する市にあっては、当該市長)に
届出が必要です。(様式は、各都道府県にお問合わせ下さい。)
4.処理ついて
PCB廃棄物の処理の推進については、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する
特別措置法(以下、「PCB廃棄物特別措置法」という。)」により規定されています。
主な内容は以下のとおりです。
(1) PCB廃棄物保管事業者に対して、一定期間内(
H28.7.14 H39.3.31まで)に処分することを義務付け
(2) PCB廃棄物保管事業者に対して、保管状況等の毎年度(6月30日まで)のの届出を義務化
(3) 地方公共団体に譲渡す場合を除き、PCB廃棄物の譲渡し、又は譲受けの禁止
(4) 国はPCB廃棄物処理基本計画を策定、都道府県は国の基本計画に則してPCB廃棄物処理計画を策定
(5) PCB製造者に対して、国及び地方公共団体が実施する施策への協力義務
U.使用中、及び使用済み安定器(コンデンサ)の保管について
PCB廃棄物の保管にあたっては、廃棄物処理法施行規則に定められている「特別管理産業廃棄物
保管基準」にしたがって保管することが必要です。
基準の内容及び具体的に考えられる保管方法は、次のようになります。
1.周囲に囲いが設けられていること。
保管場所に容易に他人が立ち入ることがないようすべきであり、倉庫や保管庫など施錠ができる
場所が望ましい。
2.廃棄物の種類などを表示した掲示板が設けられていること。
掲示板は、縦横60p以上とし、以下の事項を表示したものであること。
(1) 特別管理産業廃棄物の保管場所であること。
(2) 保管する特別管理産業廃棄物の種類
(3) 保管場所の管理者の氏名又は名称及び連絡先
(4) 表示方法(JEAC8102-1993「PCB使用電気機器の取扱い規程」より)
(a) PCB使用電気機器には、見やすい箇所に耐久性のある材質のものを使用して、第1図に示す
表示をしなければならない。(使用中のPCB使用電気機器)
(b) 廃PCB等及びPCB汚染物を収納した容器には、見やすい箇所に耐久性のある材質のものを使
用して第2図又は第3図に示す表示をしなければならない。
(c) 使用済みPCB使用安定器、廃PCB等及びPCB汚染物の保管施設には、見やすい箇所に
耐久性のある材質のものを使用して、第4図に示す表示をしなければならない。
【備考】
(a) 「PCB」は赤字で表示すること。但し、地が赤色である場合は、この限りではない。
(b) ラベルの材質は、耐久性のあるものを用いる。
(c) 第1〜4図は、(社)日本電気協会及び各地区電気協会に用意している。
(d) 従来から表示している場合で「特別管理産業廃棄物」等の表示事項を追加する場合には、
追加事項のみを記載したラベルを従来のラベルの近傍に表示しても良い。
3.飛散、流出、地下浸透、悪臭が発散しないよう必要な措置を講ずること。
ドラム缶などの密閉容器で保管することが望ましい。
4.ねずみが生息し、及び蚊、はえその他の害虫が発生しないようにすること。
5.他の物が混入するおそれのないよう仕切りを設けること等の必要な措置を講ずること。
6.PCB廃棄物については、容器に入れ密封すること等揮発の防止のために必要な措置及び
高温にさらされないために必要な措置を講ずること。
4.5.6.を含めて、ドラム缶などの密閉容器で保管することが望ましい。
なお、ボイラー室など高温にさらされる場所は、避けるべきである。
7.PCB汚染物又はPCB処理物については、腐食防止のために必要な措置を講ずること。
その他、社団法人
日本照明器具工業会 のWebサイトにも詳細資料があります。
V.微量PCB機器の取扱いについて
絶縁油等に微量のPCB(数mg/kg〜数十mg/kg程度)が混入している可能性がある電気機器等に
ついては以下に従うこと。
1.微量PCBの濃度
PCB濃度が0.5mg/kg(0.5ppm)を超える場合は、PCB廃棄物(特別管理産業廃棄物)になります。
PCB特別措置法と廃棄物処理法の対象機器として、届出、保管、および処分が必要になります。
また、微量PCBの廃棄物は、PCB廃棄物のうち、微量PCB汚染廃電気機器等に規定されています。
PCB濃度が0.5mg/kg以下の場合は、PCB廃棄物 (特別管理産業廃棄物) に該当しません。
PCB特別措置法の対象外になり、通常の産業廃棄物として処分することができます。
2.微量PCB廃棄物の処理方法
国(環境省)が認定した施設(無害化処理認定施設)で高温焼却することになる。
ただし、認定業者はまだ数えるほどしかない。(2011/6現在で4社)
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