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HOME【品質管理テーマ】ISO9001での「タートル図」の運用

 ISO/TS16949ではなく、ISO9001の範囲でタートル図(タートル分析図)を
運用する時の考え方、及び評価指標と基準値について、プロセスアプローチ的観点で書いています。



§ISO9001での「タートル図」の運用(プロセスアプローチ) 更新日 2012/6/10

 まずお尋ねします。(部門長、所属長、主任に対し、責任範囲に応じてお答えください。)
  ・自部門の各プロセスがきちんと回っていることを何で確認していますか?
  ・自部門の各プロセス(業務)を、継続的に改善していますか?
  ・前工程や後工程(お客様を含)とのコミュニケーションを実施していますか?
  ・受注から出荷(アフターサービス含)までの全プロセスの全体最適化(効率化)を
   考えたことがありますか?
 利益の出る企業にするためには、全体最適化(効率化)を考えていく必要があります。

1.タートル図の目的について
  業務改善とプロセスアプローチを運用するための分析ツールと考えてください。
   1) 業務プロセスを明確にする。(見える化して部門間の壁を低くする。
   2) 自部門の業務(プロセス)のインプット側やアウトプット側に対する影響を考慮できる。
    (内部コミュニケーション)
   3) 自部門の業務(プロセス)改善ができる。
    (基準を下回ったときに、タートル図を振り返って原因究明する。)
   4) 自部門の業務(プロセス)に必要な人的資源(力量)が把握でき、教育のニーズが明確になる。
    (教育のニーズが明確になり、教育計画を立てることができるようになる。)
  最終的には、プロセス全体の効率を考慮して全体最適化を行い、利益の出る企業にするのが目的です。

2.評価指標と基準値(目標値)について
  評価指標の基準値(目標値)のレベルについては、大きく分けて以下の2つの考え方がある。
   (1)チャレンジ目標値として高いレベルに設定し是正処置(施策の変更)を繰返しながら継続的に
     改善する方針管理的な管理
   (2)例えば、基準値を前年度のデータの平均値+αの程度とし、プロセスのパフォーマンス
    (目的の達成度)が前年度より悪くならなずに向上していることを目標として、少しずつ
     パフォーマンス向上させていく方法

  (1)は方針管理的な手法で、目標に向かって活動し続ける(施策を重視する)ことにより、
  モチベーションを維持する方法です。(2)は日常管理的な手法で、標準品質を維持しながら
  品質を安定させ、日々の業務改善を行っていく方法です。

   ISO9001のプロセス監視の観点からは(2)の方法となるが、方針管理的な(1)の方法での管理を
  行ってもよい。まずは(2)の方法で、自部門の業務プロセスを明確にし、プロセスアプローチの
  実践を目標にしてください。

  注)ISO9001では、「明確にする」の意味は、誰にでも分かるようにすることです。
   (第三者に理解出来るレベル)

3.タートル図の運用について
   評価指標が基準値(目標値)を満たしているどうか、監視測定を行う。監視する頻度は、1ヶ月に
  1回程度以上が望ましいが、評価指標によっては2〜3ヶ月に1回しかデータが取れないものがある
  かも知れない。ただし、間隔が大き過ぎると、機会損失と改善の遅れが発生し、修正に多くの時間と
  費用が発生するので、できるだけ1ヶ月に1回程度以上が望ましい。

   監視の結果、基準値を満たしていない場合は、なぜなぜ分析などで原因を究明し、是正処置をとる。
  この時に、まずタートル図を振り返り、どの要素に問題があったのかを考えること。インプット情報の
  改善、手順書の修正、施策の変更、設備の修理、再教育などが必要となるでしょう。また、それらの
  水平展開を検討することも重要となる。場合によっては、タートル図の修正、評価指標の見直し、
  あるいは基準値の見直しなどが発生することもある。

   以上のようなPDCAサイクルを回しながら継続的に改善し、業務(プロセス)の目的を達成させる
  ことが、タートル図の運用となる。(これらはプロセスアプローチを運用するためのツールである。)

4.タートル図の様式

 タートル図

5.参考資料
  「プロセスアプローチ(ISO9001)の考え方」 著者:管理人(MORIO)


【参考書籍】
  入門用ではなく実践用ですが、プロセスアプローチやタートル図について、まじめに勉強するなら、
 以下の書籍をお薦めします。

タートルチャート活用によるプロセスアプローチの実践

 タートル図を中心に、効果的なプロセスアプローチを実践するため、
 品質マネジメントシステムの改善を推進している方の教科書です。
 日科技連:「タートルチャート活用によるプロセスアプローチの実践」
 沖本一宏 著
 ぜひ、Mottai-Naviお買物処のページ【書籍類】でご購入ください。


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